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多摩美とSFC、それぞれのデザイン教育

永原 多摩美に限らず美術大学はみんな入試で絵を描いて入ってきますから、絵の上手な学生の力がどういう風にすれば生きるのかを考えないといけない。絵を描く、ものを作るというところから出発しないといけないんです。その辺りがSFCでやっている情報デザインと、美術大学での情報デザインとの、大きな違いだろうと思います。多摩美の学生たちは、素材そのものを発明したり、プログラマー的な考え方はできないけれど、それを使ってきれいなものを作るのは得意なんですよね。「とりあえず理解しなくていいから作ってごらん」というと作れる訳ですよ。そういう中で発見するものというのが、実はすごく大きいと思うんですね。

脇田 多摩美の情報デザインコースで友人の水藤祐之くんがやってるネットワーク表現の授業があって、学期に一回交流会をするんですよ。うちの学生と彼の学生が混ざり合って、お互いテーマを発表し合ったりするんですけれど、土壌の違いをすごく感じますね。彼らは絵がすごくきれいに描けるから、きっちりとまとめられるんですよね。逆に、僕らのところの学生は、英語か数学一本で入ってくるので。

永原 一本(笑)。

脇田 まあ、一人で全てを完成させるというのは基本的には苦手なんです。そこで、グループで作らせて、問題解決をさせるんです。課題を与えて、これを解決せよと。それが例えば企業との研究だったりするんですけれど、ハードルの高い課題を与えることで、彼らは初めて学んでいくんです。高校で習った数学はこういうところに使うのか、と後追いで身体化していく。従来の学問のように積み上げをしてから実践をするのと、実践から先に入るのとでは、できあがりも違ってくると思います。順番が違うというのは結構大きいんですよね。多分どちらも必要で、どちらがいいという話ではないんですけれど。

永原 構造を先に考えてから作るとなると、勉強しないと作れない。でも、うちの学生たちはモノを作ってきた子たちだから、先に作らせてしまったほうがいい。何か分からないまま作るというのも、すごく大事だなと思っているんです。作っている間に発見をしますし、それこそ作っていると自然に構造ができる訳だから、「仕組みってこんななんだ」と作ったものを見て理解できる。「ここに構造があるでしょ、ほら」っていうと、本当だと。自分が何を考えていたのかが分かる。

脇田 いい気付きですよね、それ。

永原 学生と接していると思うんですけれど、新しい技術というのは、学生にも僕にも同じタイミングで同時に入ってくるでしょう。

脇田 ええ、そうですね。学生の方が先んじていることもあったりします。

永原 なのに「どうして僕が教えてるんだ。おかしくないだろうか」って思う訳ですよ。学生の方が頭が柔軟で、すぐに対応できるでしょう。僕は新しい技術を知って、それで何かしようと思うまでにも時間がかかる。なのに僕の方がそれを生かす術に優れている。どうしてだろうと考えると、長く生きているということ以外理由がみつからないんですよ。

デザイン言語を理解すれば、デザイナーだけでなく、いろいろな人が思考の道具として使えるかもしれない。その可能性はあると思うんです。脇田玲

脇田 なるほど。

永原 新しいものとして技術がやってきた時に、過去と照らし合わせる力というのは、当たり前なんですけれど、僕の方が勝っているんです。そう考えると、過去を顧みながらモノを作っていくというのは、新しい技術を使う時にはすごく重要なことかもしれない、と思ったりしますね。先行的な研究に関わる時に、美大として何をすればいいのかというのは、ちゃんと考えていかないといけないかなと思っているんです。

脇田 そうですよね。最新技術であっても過去の延長線上に置いて考えることが大事だと思います。

永原 新しいジャンルで新しいものを作ろうという時には、情報は学生にも僕らにも同時に入ってきますから、僕が伝えるといっても「もう知ってるでしょ、これ」っていうしかないんです。じゃあそこで何ができるかというと、一緒に発見していくことなんです。彼らが作っているのを見て、何を作りたいんだろうと考えながら、質問しながら、学生が作ってくるものから発見していく。それを僕らがやらなくてはいけないことなんです。結構大変ですけれど(笑)。見つける知性、発見する知性を、僕ら自身が磨いていかないと。そして、発見できる人を育てていかないといけないな、と思います。

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