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佐藤和彦 先生 日本工学院八王子専門学校 ITカレッジ ITスペシャリスト科、情報学科、パソコン・ネットワーク科 科長

人間中心のシステム開発に必要な人材

インターフェイスの重視、人間中心のシステム設計というものに、既存のSEは対応することができるのでしょうか。また、これから出てくる新しい人材には、どんな能力が求められてくるのでしょう。

「あるSEの方から、チケット販売のためのシステムを開発した話を伺いました。そのシステムはコンシューマの方々が使うもので、どんなユーザーニーズがあるのかということは、クライアントから指示されていました。しかし、実際に開発される方は、“とはいえ、このクライアントの方々が実際にシステムを使うわけではないんですよね”と言うのです。結局、本来そのシステムを使ってチケットを購入する方々の顔が見えてこない。企業の中のシステムとは勝手が違うのですね。そこで私は、そのSEの方にペルソナやシナリオを使った要求定義の方法を紹介したところ、“ああ、それを知っていれば、もっとちゃんとしたものができた”とおっしゃるのです。つまり問題意識を持っていて、新たな手法を必要としている方はいると思います。」

佐藤先生は、インターフェイスを重視した開発を行なう場合には「インターフェイスはデザイナーが、システム部分はSEが作るといったように分業がなされている。しかし、デザイナーとSEとの間に共通言語が無い」とも言います。

「使いやすいシステムを作るために、SEもある程度のデザインリテラシー、ユーザビリティに対する知識があって、要件をまとめられるスキルは持っていて良いと思うのです。RIAが流行っていて、企業のイントラネットでも使われていくことになっていくと思います。そのとき、汎用機でのシステム設計の発想では使いやすいものができない。考え方を変えなくてはいけないと思います。」

佐藤先生が教育に取り入れる「デザインリテラシー」

日本工学院八王子専門学校のITカレッジ・ITスペシャリスト科は4年制。プロジェクトの中心的存在であるアプリケーションスペシャリストやSEを育てることを目指しています。今まで佐藤先生から伺ったお話は、実際に、ITスペシャリスト科の中でどのようにして教えられているのでしょうか。

デジタルカメラで収集した情報を整理・分類する実習

あえて手書きで作成するラフ

「3年次以降になると、プロジェクト学習を通じて情報デザインの要素を体験的に学びます。例えばペルソナの手法を使用したり、Webサイトの開発であればアクセスを解析して想定したシナリオの通りに使われているか、使われていないのならどこに問題があるのかといったことを、実践の中で学んでいるのです。これらは、まだ始めたばかりの段階で、これからもっと推し進めるための取り組みをしています。」

情報デザインの手法を取り入れるといっても、いろいろと試行錯誤はあるようです。佐藤先生はあえて、失敗例をひとつ挙げてくださいました。

「かつて、はじめてペーパープロトタイピングを見たときはショックでした。実は、授業の中でプロトタイピングを行なうとき、ペーパーではなくあえてパワーポイントでやらせたことがあるんです。でも失敗でしたね。プロトタイピングをパワーポイントでやってしまうと、パワーポイントの機能や操作スキルに依存してしまうんですね。自分の担当した授業なので申し訳ないのですが、はっきり言ってつまらなかったです(笑) 実は同じテーマで、デザイン系の学科に対する情報デザインの授業では、ペーパープロトタイピングをやりました。結果として、ペーパーのほうが面白いものが出てきましたね。道具による制限があると、その制限の中に収まってしまいます。」

今後はデザイン教育も、少しずつ取り入れていきたいと、佐藤先生は話します。

「情報リテラシーという言葉があるように、SEがデザインリテラシーを持っているべきだと思うのです。SEといえども、人に物事を説明するときに図解をする場面が多い。でもSEは絵を描くのが苦手なんですよね。そこで、情報デザインの考え方はもちろんのこと、デッサンや色彩に関する勉強も取り入れたいと思っています。それはこれからの課題ですね。」

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