「Diverge」の動作画面

「Diverge」の動作画面。「議論のテーマがわかりにくい」という問題点を解決するために作られた特別なフセン=「テーマフセン」は、自由に色を設定できる。通常のフセンをテーマフセンに近づけると、テーマフセンと同じ色の境界線が出現し、どの話題に関連する発言なのかが一目でわかるようになる。マーカー機能やアノテーション機能なども搭載され、議論を進めるのに役立ち直感的に使える工夫がこらされている

両角研究室は、デザインの立場からユーザーエクスペリエンスやインタラクションデザインの研究・教育を行っています。そこでアプリケーションの開発が行われることになったのは、メンバー自身のニーズがきっかけでした。研究室は、日本デザイン学会情報デザイン研究部会(InfoD)に参加しています。InfoDでは以前からメーリングリストで情報共有を行っていましたが、なかなか突っ込んだ議論にまで発展することがありませんでした。そこで、もっとちゃんとした議論ができるツールが欲しいという思いから、「自分たちで使いたいツールは自分たちで作ろう」と「InfoD WebApplication Project」を立ち上げ、両角研究室を中心に研究・開発を始めたのです。

発言に付箋のメタファーを使うというアイデアは、InfoDのメンバーから提案されたもの。日常的に使い慣れた文具であり、貼り直し=再編集も可能で使いやすいことから、すぐに採用が決まりました。また開発にあたっては、まず実際に付箋を使い議論をしてみる「ペーパープロトタイピング」を繰り返し行いました。フセンの使い方やルールを変えながら、「議論」という場ではどんな情報がやり取りされているのかを見きわめ、アプリケーションに搭載する機能を、本質的なものだけに絞り込んだのです。このことが、誰もが使えるシンプルで洗練されたツールを産む土壌となりました。こうして、重ねて貼ったり離したりと自由な場所に何枚でもフセンが貼れる仕様や、議題を明示する特別な「テーマフセン」、さらに、テーマフセンに通常のフセンを近づけると色が変わり、その議題に関連する意見であることが一目でわかるようになる「テーマの範囲」などの機能が定まり、アプリケーション「Diverge」が誕生しました。

「Diverge」は、Adobe Flex® Builder™ 3(現Adobe Flash Builder™)を用いて開発された、Adobe® AIR®アプリケーションです。AIR環境では、Flashを利用したアプリケーションをデスクトップで実行することが可能になります。こうした開発環境の採用にあたり、両角先生が考慮した条件は「高度な機能とアピアランスが実現できること。なおかつ、学生自身でウェブアプリケーションの開発が可能なこと」でした。プログラミングを学んだことがない学生にとっては、ソフトの内容を開発する以前に、プログラムを書くこと自体が一苦労です。「その点Flex Builderは、スクリプト言語であるActionScriptが使えるため、ハードルがぐっと下がります。当研究室では普段からAdobe® Flash® Professionalを使っているので、学生がActionScriptに親しんでいたのも大きなアドバンテージでした」と両角先生。実際に開発は、学生自身が自分で勉強しながらどんどん進めていったそうです。また、作ったものを随時確認しながら開発できることも、学生がとっつきやすい特長だったとのこと。「デザイン系の学生は、目の前のモノを見ながら制作することに慣れています。その点Flexは、ボタンをはじめ様々なコンポーネントが『置けば動く』状態で用意されているため、普段のデザイン制作と同じような感覚で、試行錯誤しながら柔軟にソフトの開発が進められました。」

Flex Buiderを用いた「Diverge」開発の様子

Flex Buiderを用いた「Diverge」開発の様子。「Flex Buiderを使ってみて便利だったのは、コードヒントが優れている点でした」と、開発を行った大学院生の諏訪悠紀さん

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