Adobe Japan Education Vanguards (高等教育機関教員向けコミュニティ)

京都造形芸術大学で2009年4月13日に開催された「AdobeCampus Day」の様子をレポートします。

今回のセミナーは、同学の1回生が全員履修する体験実習科目「ベーシックワークショップ」のキックオフ授業の一部として開催されたもの。同学内の大劇場「春秋座」において、総勢800人の新入生全員がデジタルツールの現在に触れ、好奇心を刺激された一日となりました。授業は芸術学部長・大野木啓人教授、椿昇教授の熱気あふれる扮装パフォーマンスでスタート。セミナーに先立ち、椿昇教授からは「表現のクロスオーバー化が進む現在、誰にとってもデジタルツールは必要な道具になっている。同じ使うなら、正しい姿を知ってそのパワーを味方につけよう。目先の興味だけにとらわれず、自分の可能性を拓いて」と、全学科の学生に向けて、本セミナーの意義についてコメントいただきました。

セミナーは、アドビ システムズの林 岳里が担当。導入ではハリウッド映画で行われたクロマキー合成やCG制作の実例を紹介しました。Adobe Creative Suiteは、かつては大企業でないと手の届かなかったデジタル設備に代わり、誰もが自分のアイデアを作品の形に仕上げられるパワフルな機能を提供します。大ヒット映画の裏側に熱心に見入る学生も、「ハリウッドと同じレベルのツールを、自分も使うことができる」ことに大きな刺激を受けたようでした。

セミナーは続いて、Adobe Creative Suiteの各ソフトの概要と用途を順番に紹介する形で進行しました。まずは導入で紹介したような、動画の加工や合成を行うソフトとしてAfter Effectsが登場。CGアニメのキャラクターをモデルに、アニメーション機能の説明も行いました。Photoshopの説明では、新築マンションのパースやアニメ映画のデジタルセル画、林自身が以前京都で撮影した写真など、数多くの例とともに豊富な機能を実演。「彩色する」「写真の暗い部分を明るくする」「写真に写り込んだ不要物を消す」「被写体の色を部分的に変更する」「写真を合成する」など、プロのクリエイターが実際に行っている画像編集テクニックを次々に披露し、「画像に関わるすべてのこと」を操るPhotoshopの底力を伝えました。

緑豊かな京都市左京区北白川・瓜生山の地にある京都造形芸術大学のモダンなキャンパス

全学科の新入生800人が、本格的な歌舞伎スタイルの施設を備えた同学内の大ホール「春秋座」でセミナーに聞き入りました

セミナーの導入は、ハリウッド映画の「裏側」紹介。このセミナーのために特別に許可を得た画像に、参加者のテンションも上昇

Illustratorの紹介では、実際にIllustratorを使ってデザイン・パターンメイキングされたTHE NORTH FACEのジャケットを着用したスタッフが壇上へ

次に登場したIllustratorは、イラストレーションやプロダクトデザインに必須のソフト。Illustratorを使ってデザイン・パターンメイキングされた『THE NORTH FACE』のジャケットを例に、正確に描画することはもちろん、「オブジェクトの再配色」や「色の校正」など、クリエイティビティを一層高める機能を披露。続けてInDesignでは、人気の情報誌『関西Walker』やクルマ専門誌『CAR GRAPHIC』などの誌面を例に画像やテキストを配置する機能を紹介し、「ポートフォリオ作成に役立てて」と活用場面を紹介。

最後に、Webで幅広く活用されているソフト・Flashが登場。ところが意外に、Flashという名前を知っている人はPhotoshopに比べて少ない様子です。実際に企業のウェブサイトで公開されているFlashアニメコンテンツや、人気Flashクリエイター青池良輔さんの作品のソースファイル、その場で5分間に簡単なアニメーションを作成するデモなど盛りだくさん。物理シミュレーションを取り入れたFlashゲーム「引っ越し奉行」では特に会場が沸き、Flashで作成できるインタラクティブなコンテンツの魅力がしっかりと皆さんに伝わったようでした。

このセミナーのため、特別に使用許可を得た豊富な事例を交えながらのプレゼンテーションに、学生の皆さんは終始食い入るように注目。デジタルツールの魅力を、たっぷり感じていただきました。

Adobe Campus Dayに対するご感想

椿 昇教授(空間演出デザイン学科)

今回のセミナーは、情報デザインなどデジタル制作に親しい学科はもちろん、舞台芸術や美術工芸といった学科まで、1回生全員を対象に行っていただいたもの。そのことの意義は大きいです。普段はアナログ表現が中心の学科の学生も、デジタルに対する偏見が消えて、夢をふくらませるきっかけになってくれたと思います。アドビ システムズにも企業のCIとして、販売後の継続的なフォローをお願いしたいですね。

そもそもデジタルツールには、世界観を変える力、世界を変えようという熱気を生む力がある。今後はユーザにも、もっと意識を高めて、世界をいい方向に変えていこうとする義務があるんじゃないかな…と思います。ソフトウェアメーカーには、そんな「世界を変えたくなる」力を持ったソフトを開発していただきたい。特にアドビはクリエイターにとって、それだけの影響力を持った会社ですから。期待しています。

椿 昇教授

大野木啓人教授

大野木啓人教授(芸術学部長、空間演出デザイン学科)

学生の将来を考えたとき、基礎的な能力や知識に加え、企業社会で必要とされている先端のスキルを身に付けていることで、飛び抜けて能力を発揮できる機会に恵まれる可能性があります。だから大学にも、社会の最先端を教えていく責任があると考えています。特にアドビのソフトは、どの分野でも使えるツールであり、学生のキャリアの強い味方になってくれるはず。その教育の手助けをしていただけるというのは、本当に心強いですね。

学生が社会に出るとき、その仕事は専攻の延長線上にないことも多いんです。むしろ、専攻外の何を知っているかで勝負がつく事が多い。ところが今の学生は、専攻外のことには「私には関係ない」とそっぽを向く傾向が強いんです。そこで今回のセミナーは、あえて「授業」として全専攻の1回生に聞いてもらいました。幅広い機能に「こんなことまで出来るのか」と、目から鱗が落ちる思いを味わった学生も多かったと思います。今回のセミナーの意味はとても大きかったと思います。

<学生コメント>

学生でも知っているような、メジャーなハリウッド映画が例に出てきてびっくり。とても楽しくて興味が持てました。(環境デザイン学科1年生・女子)

プロが行っているのと同じことができるソフトが、学生でも使えるというのがすごいと思いました。(情報デザイン学科1年生・女子)

あまりデジタルに詳しくなくて、次から次へといろんなソフトが出てきたので、実はついて行くのがやっとでした(笑)。でも自分も使いこなせるようになりたいなと思いました。(キャラクターデザイン学科1年生・女子)

ハリウッド映画の裏側を見られたのがうれしかったし、好奇心が広がりました。実はPhotoshopを使ったことはあったんだけれど、そのときはよくわからなくて中途半端なまま。今回改めて、Creative Suite全体を使いこなしてみたいなと思うようになりました。(映画学科1年生・男子)

CGやFlashを作るなんて、自分の手の届かない世界だと思っていました。でもセミナーを受講して、自分も身に付けられるんじゃないかと、夢が広がった感じです。(キャラクターデザイン学科1年生・女子)

Flashの紹介では、人気クリエイターのFlashアニメのソースを披露。フレーミングやタイムラインなど、アニメーションの構造にも触れられました

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