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Education Vanguards Interview 武山 政直(たけやま まさなお)

都市の未来を考えるゼミは常に「学生が主人公」

都市の機能が発展し、暮らしが豊かになること。それは例えば、新しい地下鉄ができることでしょうか。そして新しいビルが建ち、テナントとして素敵なお店がたくさん入る——もちろん、それは楽しいことに違いありません。しかし、ハードウェアとしての都市が、メディアやテクノロジーを通じて人々の意識と融合することで、都市の魅力はさらに増すのではないか。慶応義塾大学経済学部の武山政直教授のゼミでは、そのような研究を行っています。同学部の中でも有数の人気ゼミを率いる武山先生に、研究のことからゼミを組織する秘訣まで、いろいろなお話を伺いました。

執筆/須貝 弦

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武山 政直(たけやま まさなお)

慶応義塾大学 経済学部 教授

慶應義塾大学経済学部卒業。慶應義塾大学環境情報学部助手、武蔵工業大学環境情報学部助教授、慶應義塾大学経済学部助教授等を経て、2008年より現職。経済地理をベースに、都市を「文化的経験価値の生産と消費の場」と位置づけて、都市の情報化や空間行動分析を行い、人々のライフスタイルおよび消費行動と結びつける研究を行っている。

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都市空間×メディア×人間行動=新しい価値

慶応義塾大学の経済学部で都市メディアと消費者行動についての研究を行っている武山政直先生は、もともとは地理がバックグラウンドにあり、都市の研究を行っていました。

「最初は(慶応義塾大学)湘南藤沢キャンパスの環境情報学部で助手をやっていたのですが、そのときにインターネットやマルチメディアというものに触れて影響を受け、ITと都市との接点を見つけること——メディアと都市の融合——をテーマに研究をしていました。私自身、工学系でも美術系でもありませんから、人や人の行動、意識に焦点をあてて、都市とメディアが融合することでどう暮らしが変わるのかということをやってきました。」

武山先生にとって研究の場であり、そして教育の場でもあるゼミ「武山政直研究会」(通称KEG)は、同学部の中でも有数の人気ゼミとなっています。そこで、このゼミで進められている2007年度のプロジェクトを、いくつか紹介していただきました。

「都市空間、つまり個人の部屋からオフィス、公共空間や商店街、交通機関なども含めた“人が暮らしている場所”と、いろいろなメディアが密接に結びついてきたときに、人間の生活様式や価値観がどう変わるのか、どんな豊かさを実感できるのか。都市空間とメディア、そして人間行動の3つの関係をデザインして、新しい価値を見いだしていこうというのが大きなテーマです。実際にやっていることはフィールドワークが中心で、インタビューや観察調査を行い、それを踏まえて新規サービスの企画提案を行うという研究スタイルです。」

ゼミでは、企業との共同研究プロジェクトの形式で、現実的なビジネスやサービスの企画開発を行っています。例えば、共同通信社との共同研究である「新聞専用の電子デバイス」では、サービスの企画立案だけでなく、デバイスのモックアップを作るところまで行っています。他にも、人の集まる場所を盛り上げるための携帯電話向けメディアの企画、港区の商店街に設置する大型ディスプレイの活用法検討、範囲限定で情報を配信する「ローカルワンセグ」の可能性探索などのプロジェクトがあります。

「新聞専用の電子デバイス」では、サービスの企画だけでなくモックアップの制作まで行った

より実験的性格の強いものとして、都市とメディアをフル活用して現実世界の中にフィクションのドラマを作り上げ、そこに都市生活者が参加していく「代替現実ゲーミング」のプロジェクトも行っています。これは新しいエンターテイメントであると同時に海外ではマーケティングの手法としても発展していて、それを日本で展開するにはどうすれば良いか、学生がリーダーになってプロジェクトを進めています。

慶応義塾大学のキャンパス内で行われた、ローカルワンセグの実験放送

ジャンルの幅広さ、プロジェクトの多様さには驚かされますが、いずれにも共通していることがあります。

「何か新しい仕掛けを世の中に導入するにあたり、技術ありきではなく、実際の生活を良く見て、アイディアを出して、新しいサービスのプロトタイプを動かし、実際のサービスの提案に繋げていくことを目指しています。着目しているのは人間の心理や生活スタイルです。教科書的な経済学ではない生の経済では、生活の中でどんな欲求が沸き、意思決定するかが重要なポイントなのです。」

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